仲間(眼鏡の兵隊)  72.8×60.6 1978 

  こわれた眼鏡を、医務室からもらってきた包帯と絆創膏でつくろった。ペチカの上にのせた飯盒が心配でならない。暗がりの中から、じっと見つめる一ッ目は一点を睨んで動かない。昨日作業場で眼鏡を壊したときの彼のあわてようと、落胆ぶりは戦友たちをおどろかせた。彼は二年上の学徒兵と同じ年輩だったが、極度の近眼で遅れて入隊した。 壊れた眼鏡でもなんとか見えるようになったので、彼はもとの落ちつきと平静さをとりもどした。目が見えないでこのさきをどうして生きていくのか、一時は彼の憔悴ぶりははなはだしかった。